2026/08/18 01:30


『烏山椒』が廣田養蜂場の人気商品になるまで

2026年7月に採蜜した廣田養蜂場の「烏山椒(カラスザンショウ)」のはちみつは、おかげさまで8月9日に完売しました。

手に取ってくださった皆さま、本当にありがとうございます。


今では廣田養蜂場の人気商品のひとつとなった烏山椒ですが、実は、昔から販売していたはちみつではありません。


先代の頃までは、烏山椒のはちみつをまったく採蜜していませんでした。

夏以降を過ごすミツバチたちの大切な餌として、すべて巣箱に残していたのです。

それを2代目になってから、

「この個性的な味わいを、お客様にも楽しんでいただけるのでは」

と考え、商品として販売するようになりました。


今では毎年出店する「はちみつフェスタ」でも人気を集める、廣田養蜂場を代表するはちみつになっています。


ほろ苦く、どこか柑橘を思わせる「烏山椒」

烏山椒のはちみつには、ほかのはちみつにはない個性的な味わいがあります。


みかんの皮を思わせるような爽やかさと、そのあとに残るほろ苦さ。

一般的な甘いはちみつとは少し違うため、


「はちみつを食べ慣れている方」
「ちょっと変わった味のはちみつを探している方」


にも選んでいただいています。


そして、おもしろいのが、同じ年でも、同じ巣箱でも、まったく同じ味にはならないこと。


採れ始めの頃は、苦味がおだやかで、柑橘を思わせる味わい。

花が蜜を出す量が増え、開花の終わり頃を迎えるにつれて、苦味が強くなる傾向があります。


毎回同じ味に揃えられない。

でも私たちは、その違いも含めて自然のはちみつだと考えています。

当たり前に採れるはちみつではありません

廣田養蜂場では、標高約100mにあるメインの養蜂場で、これまで烏山椒のはちみつのほとんどを採蜜してきました。


ところが2025年。

ミツバチたちが飛んでいく、養蜂場の目の前にある烏山椒の森の一部で、伐採が始まりました。

そして、その年から烏山椒の採蜜量は大きく減りました。


巣箱は同じ場所にあります。
ミツバチたちも飛んでいます。

けれど、その先にある森が変われば、採れるはちみつも変わります。

今ある木だけを守ればいい、という話でもありません


もうひとつ、烏山椒には課題があります。


養蜂場周辺には、樹齢50年ほどになる烏山椒の木があります。

年齢を重ねた木は、次第に花を咲かせなくなります。


花が咲かなければ、蜜は出ません。
蜜がなければ、ミツバチも集めることができません。


それなら若い烏山椒が育てばいいのですが、そこにも自然の厳しさがあります。

シカが、烏山椒の新芽を食べてしまうのです。


今ある大きな木は少しずつ高齢になっていく。

一方で、その次を担う新しい木も育ちにくい。

烏山椒のはちみつが毎年当たり前に採れるものではない理由が、ここにもあります。

自然を、人間の都合だけには合わせない


もっとたくさん採れたら。

毎年、同じ量をお届けできたら。


養蜂をしていると、そんなふうに思うこともあります。

それでも、自然は人間の予定どおりには動いてくれません。


花が咲かなければ、蜜は採れない。
森が変われば、ミツバチが集める蜜も変わる。
同じ巣箱でも、同じ味にはならない。


だから廣田養蜂場では、自然を無理に人間の都合へ合わせるのではなく、「自然との共生」を大切にしています。


思えば、先代まで烏山椒の蜜を採らず、ミツバチたちの餌として残していたことも、その考え方につながっています。


人間がすべてをいただくのではなく、ミツバチが生きていくためのものを残す。

そして、その年、その場所で自然とミツバチが分けてくれた恵みを、大切にいただく。

私たちは、そんな養蜂を続けていきたいと思っています。


毎年違うからこそ、その年の味を楽しんでほしい

今年の烏山椒は、今年だけの味。

来年採れたとしても、まったく同じ味にはならないでしょう。


だからこそ、

「去年と同じ味かな?」

ではなく、

「今年はどんな味だろう?」

と楽しんでいただけたら嬉しいです。


烏山椒は現在完売していますが、廣田養蜂場では、みかんや櫨など、その季節、その場所で採れた生はちみつをお届けしています。


一瓶の向こうにある花や森、ミツバチたちのことも少し思い浮かべながら、自然がつくる味を楽しんでいただけたらと思います。


今お届けできる廣田養蜂場の生はちみつは こちら